前回の記事では僕の作品を作る制作環境、作詞、作曲、編曲について紹介しましたが、今回は動画の内容について触れたいと思います。
音楽を作ったら、次に考えるのは『どう届けるか』です。サブスク配信だけでなく、YouTubeでも楽曲を聞いてもらうために多少こだわっているのが『動画』です。
今回は、AIで生成したイラストを使って作る動画制作の裏側を紹介したいと思います。
1.楽曲に合わせた動画コンセプトを考える
音楽を作ったら、基本的にサブスク配信して聞いてもらうようにはしているのですが、Youtubeでも聞いてもらえるように動画を作ってアップしています。
音楽を流すだけは動画にする意味もないし、聞いてもらえないよねということで、歌詞動画のようにしています。
ですが、ただ歌詞だけ表示する動画だと一歩間違ったらカラオケの動画みたいになるし、少しでも見栄えがよくなるように、また、どうやったら聞いてもらえるか?は試行錯誤してやってます。
初期の頃はとにかくイラストAIで出力した、楽曲のイメージをイラストにして歌詞を乗せていましたが、最近はコンセプトをちゃんと持たせてイラストを出力して、それに動きの大小をつけて動画にしています。そのため、楽曲コンセプトにあった素材を集める作業から初めます。
動画イメージを言語化
音楽をメインに作りたいので、最近は動画に手間をあまりかけないように意識していますが、どんな感じにすれば音楽を際立たせることができるかを考えます。
例えばバラードとかテンポが遅い楽曲の場合は1枚イラストを表示させて、文字に動きを出して表現したりします。逆にアップテンポな曲や、ストーリーが明確な楽曲は、AメロBメロで動きをつけるのかどうか?どんな感じの構成にすれば良くなるのか?を絵コンテみたいなメモを作って大枠をイメージします。
2.コンセプトに合わせたイラスト生成と加工
イメージイラストの出力
動画の方向性が決まったら、それに使用するイラストを作ります。 初期作品は楽曲感情の表現だけをするためにイラストをAI(Stable Diffusion系)で出力して使っていましたが、途中から自分の中でキャラクターを固定するようにしました。
そのためプロンプトも大筋固定で流用していますが、作品に合わせて表情や場面や構図などを検討して、1作品に対して20枚くらいはまるでガチャを引くように納得のイラストがでるまで何十枚も出し続けます。
プロンプトはそれなりに指定するのですが、SunoAIの音楽を出力するのとは勝手が違って、なっかなか思う通りにならず、正直かなりめんどくさいです。
納得行くイラストがぱっと出せればいいのですが、正直運の要素が強いと思ってます。
うまくいかないときは100枚くらいイラストを出す羽目になります。
ですが、AIは時々思いがけない表情や構図を生み出してくれるので、僕はポジティブに出会いを楽しみイラスト生成をしているという感じです。
ちゃんと環境を構築して勉強してやれば効率よくいいイラストも出せるのでしょうけど、あまりそちらに時間をかけたくないので、イラストだけはもうガチャを引くものと割り切ってやってます。
イラストイメージの意味を固定
一番初期の作品ではただ、楽曲のイメージにあったイラストの出力をしていて、途中から使うキャラクターを作品の内容合わせて3人だけに固定して出力をしていました。
ですが、最近また趣向を変えて、歌うボーカルに合わせてイラストを変えるように変えました。
これによってサムネのイラストで誰が歌っているかがわかるし、曲を彩るのはやはりボーカルだなと思うので、ボーカルを主役にしたイラストの使い方にしようということで、使うボカロのカラーに合わせてイラストを作っています。
ただイラストを使うのではなく加工する
作品によって異なりますが、複数出力したイラストの中から1枚を使って1枚絵用のMVとジャケット、サムネを作ります。作品によっては絵本みたいにストーリーを表現するように作ることもあります。
初期の頃はその出力されたイラストをパッと貼り付けて使うっていうのが多かったんですが、最近は人物を切り抜いて背景と分離させたり、動画での使用をイメージして色々加工してます。
加工については人物を切り抜き、背景を分離して、画像も編集時点で画像比率を変えたりして動画用に適正化させていきます。
3.MV作成と演出方法について
準備したイラストを元にMVを作ります。 動画は趣向を凝らせばもちろんいい動画は作れると思いますが、あまりに時間が足りなすぎて、動画作成にはあまりリソースを割いていません。 どちらかというと僕は音楽を作ってたい方なので、シンプルな作りのMVが多いです。
こればこるほど良いものができると言いましたが、僕のMV制作パターンはほぼ決まっています。 1作品ごとにレベルアップを感じてはいますが、それでも動画づくりはすごく毎回大変だと感じてしまいます。
アニメーションとカメラワーク
この動画は音楽グループMarbleで作った動画ですが、完成までにめちゃくちゃ時間かかりました。
登場人物の心情の変化を表現するため、絵本のように場面ごとにイラストを変え、アニメーションとカメラワークで動きをつけました。 登場人物が可能な限り一致するように大量にイラストを出したし、動きをつけることをとにかく意識して、カメラ制御というものを用いて動きを出しました。
文字PVっぽい感じ
この動画はイラストを加工して奥行きを意識し、文字の動きを洗練させるようにした動画です。
うまく説明できませんが、この動画はなんかいい感じに作れたと思っています。
多分楽曲の雰囲気や動画全体の色合いがマッチしてるのかなと漠然と思っています。
この動画を作ったあたりから、僕の動画のテイストが決まっていった気がします。
動画生成AIを使ったループアニメーション
この動画は動画生成AIを使って、イラストをアニメーションっぽく加工させるようにした動画です。
これはもうなかなかうまい具合にアニメーションが成立してくれないし、労力の割に動きは出せるものの、視聴者を引き付けるほどの変化を起こせないのでもうあまり作らないかもしれません。
絵本調の画面変遷
この動画は絵本みたいなイメージで作りました。テクニカルなことはしていませんが、イラストを沢山作るのが大変でした。
ショートストーリーをつける
楽曲が始まる前に、ストーリーを付けたもの。
テストで一回作ってみたけど、これ以降は作ってない。
テンポよく文字を動かす感じの動画
イラストは1枚固定。(目を閉じた差分だけ追加で作りました)
音ハメを意識して、音の区切りでエフェクトを付けたり表現に色をつけてます。
リズム感を視覚的に表現した動画です。
バラードとかで文字を主役にする
大半はこんな感じで、歌詞だけをパッパ切り替えてだす奴を作っています。
どうやって作るのか?使用ソフトについて
僕は動画編集ソフトはAviutlを使っています。 AfterEffectsはブルジョアソフトすぎて使えません。そしてDaVinci Resolveはノードの編集が難しくて断念して以来使っていません。
64ビット対応してないので色々しんどい一面ありますが、それでも全然使えてます。
※最近Aviutl2が出たので、64ビット対応しました。覚え直すの面倒くさくてまだ触ってません。
Aviutlを使う理由
Aviutlは音楽活動をする前からちょっとだけ使っていたし、拡張性も高く情報も多く出ていたので、Aviutlを使っています。
活動を初めた当時はDavinci resolveは全くと言っていいほど情報がでてなくて、使いたかったけど操作がわからなくて断念したんですよね。
今から動画を勉強するとなったら僕なら間違いなくDavinci resolveを勉強します。
ですが、もう今から覚え直すのは大変なので僕はもう当分Aviutlを使っていきます。
どうやって作るのか?
Aviutlを使う場合、とにかく人気のプラグインエフェクトを入れて、その解説動画を見ながらとにかくやってみる!という感じで作っていきました。
最初の頃なんてほんとショボい動画しか作れていませんが、新しい動画を作る挑戦をするたびに、動画のクオリティが徐々にあがっていったという感じです。
これについては新しい技術を取り入れながらとにかく作品を作るしか無いと思ってますし、その解説動画は沢山でているので、それを見様見真似でやっていくという感じでやれば僕程度の動画はすぐ作れるようになると思います。
動画を出力する
そんなこんなで、動画が完成したらmp4に出力します。
シンプルな動画で出力時間およそ20分。過去激重動画を作ったときは、出力に8時間かかってました。ほんと動画って大変です。
一時期AIを使って…と思って試行錯誤したこともあったんですが、思うように動いてくれない、時間もかかるガチャシステムになる、思ったクオリティにならない、お金もすごいかかる。ということで動画のAI化は断念しました。
とまぁ、これらの作業を経由して1曲がやっと完成します。
ですが、作品を作っている時って、クリエイターズハイみたいなものがあって、作ってる最中はめちゃいいのができた!って思うんですよね。
でも、日を開けてチェックしてみると全然大した事ない...って思うことがあります。
なので、それに気づいてからは感覚をリセットしてチェックできるように、1作品作るのに数日またぎます。
これをやらないと一晩寝て起きたあと聞いてみたりしたら、「なんか違うぞ…」とか「ボリュームがおかしい」とていう状態が頻繁に起きるので😪
この流れは、いい香水を探そうと香水コーナーでいろんな匂いを嗅ぎまくって鼻がおかしくなる感じに似てますね。
動画作りのために勉強して、オススメ出来る本
Aviutlについてはほぼ本屋で売ってるマニュアルみたいなものはなかったので、ほとんどがネットからの情報収集でした。
ですが。動画の作り方や考え方については本を色々読み漁りました。
動画編集系の本って、基本Youtuber向けみたいな物が多くて、僕が欲しかった情報ってなかなかなかったのですが、映画製作の教科書は、MV動画を作るにあたって必要な考え方を学べました。
この本もセットで読みました。
終わりに
以上が僕の制作の裏側になります。
興味を持ってくれた人は是非自分でも作ってもらえたらいいのかなって思うし、そうでない方は簡単そうにぽんぽんやってるけど、意外と手間がかかってるんだなって知ってもらえたら嬉しいなと思っています。
もし少しでも興味を持ったら、ぜひご自身でも動画制作にチャレンジしてみてください。
次回は番外編についてちょっと触れたいと思います。
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